言語共創ジャーナル 第3号

言語共創ジャーナル 第3号

タイトル

言語共創ジャーナル 第3号

ジャンル

書籍/人文科学

著者

言語共創ネットワーク

公開日

2026年10月01日

更新日

2026年10月04日

作品紹介

AIとともに書き、読み、考える。そのとき、私たちは何を選び、何を引き受けるのか。

創刊号・第2号で探究してきた、AIという「コグニティブミラー(認知の鏡)」。第3号では、その鏡を通して見えてきた問いを、授業実践、学力評価、文学の読解、論文執筆の具体的な場面へと広げます。

AIが言葉を生み出す時代に、自分の言葉で書くことには、どのような意味があるのか。AIとの対話は作品理解を深めるのか。学習者の力をどう評価し、学ぶ機会をどう保障するのか。そして、積み重ねてきた実践経験を、いかに研究へと編み直せるのか。

本号には、これらの問いに向き合う四つの原稿を収録しました。

・自分の言葉で書く意味を探る――田山地範幸
高階秀爾「『間』の感覚」を手がかりに、高校生が身近な人間関係を問い直し、自らの生活実感から言葉と新たなルールを生み出す授業実践。

・AIとの対話で文学を読む――森田崇弘
井上ひさしの「東京裁判三部作」を読み、AIの要約・解釈と生徒自身の読解を比較する実践報告。新たな視点を得る可能性と、出力を検証する必要性を考察します。

・学力評価と学習機会を問い直す――野中潤
PISAや生成AIの教育利用に関する研究を検討し、AIの支援による課題達成と学習者自身に残る力を区別しながら、評価と教育の公平性を考えます。

・実践経験を研究へと編み直す――池田修
熟練料理人がAIとともに論文執筆へ挑むフィクション。論文を書くことを「ゲーム」に見立て、経験を問いと根拠に変えていく研究の面白さを描きます。

教室の記録、教育への考察、研究へ踏み出す物語が響き合う一冊。AIとの共創を、自分の言葉と判断を育てる営みへつなぐ手がかりを届けます。

作者からの言葉

本誌第3号を手に取っていただき、心より感謝申し上げます。

前号の刊行から、およそ5か月が過ぎました。その間にも、生成AIは進化を続け、私たちが書き、読み、考える環境を変えています。昨日まで驚きだったものが、今日には仕事の前提になっている。その変化は、本誌の編集の現場にも及びました。

今回は、原稿の確認から版下づくり、割り付け、表紙の制作と配置に至るまで、編集作業の広い範囲でAIとの協働を進めました。誌面を整えてもらい、その結果を確かめ、指示を練り直す。その往復のなかで、文字のかたちや余白、文章と図の関係について、自分が何を大切にしているのかを改めて言葉にすることになりました。「共創」という言葉に、具体的な手ざわりが加わったと感じています。

本号に収めた4つの原稿も、それぞれの場面で、人間が担う判断を問い直しています。自分の生活から言葉を紡ぐこと。AIの解釈を作品の根拠に照らして検討すること。学習の成果と過程を見極めること。経験を研究へと育て、批評に応答すること。そこには、AIに何を託し、その結果をどう引き受けるかという、私たち自身の問いがあります。

私たち「AI言語共創ネットワーク(AILCN)」は、こうした実践と考察を持ち寄る共同体です。本誌は、執筆者の責任で原稿を公開し、読者からの批評や応答を通じて、その価値と課題を確かめていく場でもあります。誌面に記された問いが、読者の授業や研究と出会い、さらに考え直されていくことを願っています。

変化のただなかで、何に驚き、どこで立ち止まり、どんな言葉を交わしたのか。その時間を、一冊のかたちで残しておきたい。本号が、皆様の「いま」を見つめ、次の問いを育てるきっかけとなれば幸いです。

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