デジタル出版の「心・技・体」

相撲の話題にこと欠かない毎日、「心・技・体」という言葉をよく耳にする。一体何のこっちゃと思う人も多いことだろう。でもこうして書き表してみると通じてくるものがある。これは相撲にだけに語られる言葉などではない。デジタル出版にだって歴然と存在する。言い換えるなら、「発信」するゾという人の志、「支援」する技術の存在、「ない」という現実、なのではないか。

 

長い時間をかけデジタルに関わって、やっと夜明けの光が見えてくると誰もがそこに集まってくる。甘い水があるのならば飲まない手はないだろうとばかり。でも甘い水はずっと以前からそこに湧き出ていたのだ。暗くて誰にも見えなかっただけだ。アメリカの出版社、オライリーの社主であるティム・オライリーは、ある追悼の集いに一枚の写真を投影してこう言った。写真にはいくつもの種類のベリーが写っている。みなさんもご存知のストロベリー、ブラックベリー……

「ここにあるいくつものベリーのどれが食べられ、どれが毒をもつか、私たちは知っている。なぜそれが分かっているのか? 身をもってこれらベリーを食べた人がいたからだ。」

 

私たちは未知の世界に飛び込み痛手を受けることがある。痛さに歪めるその顔を見て、人は笑う。バカだなと。側で見ていれば、痛みを受けることもなく事実を知ることになる。それは尊いみんなの財産なのだ。自分もまたどこかで飛び込み、事実を伝える義務がある。これはバカなんかじゃない。人としての順番なのだ。

 

12月8日がまたやってくる。私たちは戦争に負けて焼け野原に立たされた8月15日を忘れることはない。しかし、奇襲して戦争の火蓋を切った日は、しばしば疎かにしている。多くの人命が失われ、若い命が無残にも見殺しにされた。教訓の源は、結果としての敗戦よりも発端にあると言うべきではないか。

ボイジャーが関わり、12月8日を意識させる二つのデジタル出版がある。それをここに紹介し、「心・技・体」を考える一つの契機としていただければ嬉しい限りだ。

 

木で軍艦をつくった男

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映画『トラ・トラ・トラ!』美術チーフ 近藤司

採録・構成 萩野正昭

https://romancer.voyager.co.jp/store/publication/9784862390820

 

 

戦争のはじまり 戦争のおわり

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真珠湾に沈む戦艦アリゾナ

今もなお戦争の忘れがたき記憶として残されている

https://romancer.voyager.co.jp/161208_pearl_harbor