村上春樹の電子本 なぜ紙より高いのか


村上春樹著『村上さんのところ』という本が書籍と電子で7月に出版された。アマゾンの内容紹介に「著者国内初の電子書籍化作品!」とあったので目を剥いた。本人も「僕にとっての、最初の電子書籍出版」なんて言っている。おいおい本当かよ、かつて『新潮文庫の100冊』というCD−ROMで、村上春樹の『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』が電子になってた記憶がありますぜ。知らぬのか。まあ、とっくにこのCD−ROMは消えて久しいと言えるのだが……

 

shintyo_hyakusatu_new

エキスバンドブックが使われた

制作協力:ボイジャー、大日本印刷

 

値段を見て驚いた。書籍版1,300円(税抜)、電子版2,000円(税抜)。なんだろう、逆が普通だろう。見ると電子版には「コンプリート」などという文字が付いている。村上春樹の回答が書籍では473問、電子では3,716問、と差がついている。コンプリートとは答えの全てが収録されているということなんだ。もっと調べてみると、この本の源流は——村上作品に関する素朴なクエスチョンから、日常生活のお悩み、ジャズ、生き方、翻訳小説、社会問題、猫、スワローズ、そして珍名ラブホテルまで……。大好評のうちに終了した期間限定サイト「村上さんのところ」——だったということがわかってきた。

 

書籍は雑誌コラム風の縦書き、電子は横書きとなっている。いやはやまいった。かつて新潮社の強い要望でデジタルにおける日本語縦書きを必死に奔走したのは私たちボイジャーに他ならなかった。変化は何を伝えているのだろうか? 静かに考えてみたい。 
出処はWebサイト。便利なスマホが中心の展開。17日間限定に37,465通のメール。書籍は473問収録。電子は3,716問収録。縦書きと横書き。村上春樹自身が前書きで述べている「目に見えて手に触れられる」ことの大事さ……。デジタルを通してこれを体感している作家の存在。幾つかの鍵がここには隠されている。じっと未来をうかがってみるのも秋の夜長の営みかもしれない。

 

スクリーンショット 2015-11-08 9.03.13

画像はこちらのサイトから(外部リンク

●超人気サイト「村上さんのところ」が単行本と電子書籍に!|新潮社