Mr. Adults

—— 1970年代の終わりにデビューした西島三重子の『池上線』という歌は忘れられません。この電車を利用した人も少なくないでしょう。当時塩ビのドーナツ盤、B面にあった『ざわめきの外で』もなかなかですが、もう忘れ去られた曲です。今日、ネットでこれを捜し出しました。YouTubeです。多分違法コピーでしょうネ。でも素晴らしかった、ありがたかった。そしたら傍にMr.Childrenの『くるみ』という歌が表示されていました。何だろう、と頸を傾げながらクリックした次第です。『くるみ』って、どこかの家に一緒に住んでいた猫と同じ名前みたいで、可愛い思い出に浸ったりしちゃいます。

 みなさんの中でMr.Childrenの『くるみ』のプロモーション・ビデオを見たことがある人はいますか? 何の情報も持つことなく見て驚きました。そこに描かれていたのは、必死に曲を作るいい年齢の男の情けないほどの孤独と、見向きもされない世界に生きる歌声の儚さです。けれど、やはり同じ境遇の一人、そして二人と、わずかな人々が、その男の支えであることがわかってきます。最後に、このビデオが1989年Mr.Children結成前日の光景であったことが知らされます。『Mr. Adults』という名前も考えていたのです、『Mr.Children』は。



 力強さと激しさ、なんの支えもない悔しさと悲しさ、モノをつくる者が向かい合わねばならない姿がこのプロモーション・ビデオには表現されています。ボイジャーの29年の歴史もそうでした。今日、みなさんへボイジャーの年表が送られています。あの年表は『くるみ』の楽譜のようなものです。どうかお聴きになった後に、年表も忘れずに見てください。



思うがまま 囁くように

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