ボイジャーとInternet Archive ― Internet Archive 25周年記念連載(第1回)

Internet Archiveという組織をご存知でしょうか? 知らないという方でもWayback Machineという「消えてしまったWebページを保存しているサイト」を知っている人は多いのではないでしょうか。このInternet Archiveが、今年10月29日に25周年を迎えます。そしてボイジャーも今年の10月26日から創立30年目に入ります。それを記念して、ボイジャーとInternet Archiveをテーマとした短期集中連載(全5回)をお送りします。

Ephemeral Filmsとリック・プレリンジャー

 1990年代に、ボイジャーが出版した「忘れられたフィルム(原題Ephemeral Films)」というマルチメディアCD-ROMがあります。このCD-ROM、リック・プレリンジャーという人物が集めていた企業の宣伝フィルムや公共マナーの喧伝フィルムなどを収録したたもので、当時のアメリカ市民の暮らしぶりや夢見ていたものが描かれていてとても興味深いものです。

 このリック・プレリンジャーはInternet Archiveの理事でもありました。そのコレクションを集めた「プレリンジャー・アーカイブズ」もまたInternet Archiveの一大コレクションになっています。

Ephemeral Films 1931-1960

当時のCD-ROMを短い映像で紹介しています。

Book Server構想、そしてボイジャーの参加

 ボイジャーが実際にサンフランシスコにあるInternet Archiveを訪れたのは2010年のことです。

 当時のボイジャーでは「ドットブック」というフォーマットで、シャープのXMDFとともに、日本における電子書籍のデファクトスタンダードの位置にありました。しかし「電子出版の普及には、世界の標準が必要」との考えから、EPUBという世界標準のフォーマットに積極的に関わり始めました。

 さらに世界の標準のフォーマットができたらその先にあるもの、それは私たちが自由に電子書籍を活用できる仕組みです。Internet Archiveでは「Book Server構想」として、それに取り組んでいました。ボイジャーもその構想の正式メンバーとして推進に参加することに合意しました。

Internet Archive本部にて、創始者のブルースター・ケールとボイジャー代表取締役(当時)萩野正昭。

 この写真に写っている人物が、ブルースター・ケール。Internet Archiveの創始者です。活動の目標として「全知識体系への全世界的アクセス(Universal Access to all Knowledge)」をかかげています。

 私たち一人ひとり、あるいは一企業・団体ができることには限界があります。世界の標準と調和し、手を取り合うことが重要と思い知らされたことでした。

 ブルースター・ケールと、当時のプロジェクト中心メンバーであったピーター・ブラントリーへのインタビュー動画もご覧ください。

「Book Server」を語る

ブルースター・ケールとプロジェクト中心メンバーであるピーター・ブラントリーへのインタビュー動画。

»「第2回 Wayback Machine」に続く

10月22日(金)日本時間朝10時より、From Wayback to Way Forward: The Internet Archive turns 25というバーチャルイベントが開催されます。