作品紹介
川内町の淡島神社には、目隠しをして境内を進み「和合石」に抱きつければ好きな人と結ばれるという言い伝えがある。墓参り帰りの幸兵衛夫婦は、隣家の娘が和合石へ懸命に願掛けする姿を微笑ましく見守った。
作者からの言葉
目隠しをして特定の石を目指す願掛けは、京都・地主神社の「恋占いの石」など全国各地にも見られる親しみやすい民間信仰のかたちです。
本作の面白さは、単に伝承を語るだけでなく、隣家の幸兵衛とおたえという仲睦まじい老夫婦の視線を通すことで、若者の初々しい恋心と長年連れ添った夫婦の情愛とが心地よい対比を描いている点にあります。
また末尾にあるように、平成の世になっても遊び半分や好奇心で石に近づく現代の若者たちを淡島様が寛容に見守っているという描写は、古き良き地域の民話が時代を超えて生活や記憶の中に息づいていることをユーモラスかつ温かく伝えています。
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