作品紹介
由良四天王の高橋丹波守英元は水論で桐生氏を破るも、主家没落で職を失う。諸国巡歴を経て境野原へ戻り、刀を鍬に持ち替えて不毛の荒野を開拓。祥雲寺を創建し、乱世の武将から村開拓の祖として生涯を閉じる。
作者からの言葉
戦国を題材とする際、多くの者は城を落とし領地を切り盗る「武威」に目を奪われがちである。だが、真に時代を前へ進めたのは、刀を捨てて泥にまみれ、大地を穿った者たちではなかったか。
かつて「水論」という冷徹な謀略で一国を覆滅せしめた英元が、乱世の幕引きとともに荒野へ戻り、命を養う水を引く側に回る――。ここに歴史の皮肉と、人間が持つ業の深さ、そして救いがある。
渡良瀬と桐生川に挟まれた捨て石の原野に打ち下ろされた「初鍬」の一撃は、合戦の太刀音よりも遥かに重く、永い時を越えて現代の境野の礎となっている。乱世の敗者が辿り着いた、土と水のリアリズムを描き切りたかった。
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