馬頭ケ淵の衣

馬頭ケ淵の衣

タイトル

馬頭ケ淵の衣

ジャンル

書籍/その他

著者

清水 義之

公開日

2026年09月16日

更新日

2026年09月16日

作品紹介

母のおいとが作る泥鰌料理ばかりの食卓に疑念を抱いた矢助は、逢魔が時に母の後を追う。母が衣を脱ぎ巨大な鰻となって泥鰌を吐き出す姿を目撃してしまい、正体を知られた母は濁流へ消え、二度と戻らなかった。

作者からの言葉

本作は、日本の伝統的な「異類婚姻譚・異類養育譚(鶴の恩返しや蛇女房など)」の系譜を引きつつ、怪異と親子の情愛がもたらす悲劇を描いた短編怪奇譚です。怪異と日常の対比:
食卓に並ぶ手料理の温もりと「なぜ泥鰌ばかりなのか」という日常の違和感を導入にし、渡良瀬川・馬頭ヶ淵という土着の不気味な情景へと繋げています。 母性のグロテスクさと哀愁:
自らの体内から泥鰌を吐き出して我が子を養っていたというショッキングで異形な姿と、それを最愛の子に見られてしまった母の絶望・羞恥を描くことで、単なる怪物譚ではなく「正体を暴かれた異類のはかなさ」を際立たせました。 余韻の残る結末:
母が脱ぎ捨てた泥まみれの衣と、淵に立ち尽くす矢助の姿を通して、「母は化け物だったのか、それとも慈愛の水神だったのか」という答えの出ない切ない余韻を込めています。

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