作品紹介
農閑期の秋晴れの日、広沢村の百姓三人が「周藤」と「周東」のどちらが本家かで論じ合う。平家落人の末裔と源氏の古社家、双方の由緒を称えつつ、白黒つけずに笑い合って共生する温かな人情を描いた郷土の昔語り。
作者からの言葉
本作は、清水義男氏の遺された『桐生のむかし話』より「周藤家と周東家 広沢町全域」を原案とし、小説家・浅田次郎氏の作風を意識して書き下ろした短編小説です。
原作の持つ素朴な民俗学的記録の温もりを損なうことなく、浅田文学の真骨頂である「市井の人々の小気味よく滋味あふれる会話」「源平の哀歓を背負った重層的な歴史描写」、そして「対立を包み込み、笑いと情に変えてしまう結末の粋」を吹き込みました。名門の矜持を振りかざして争うのではなく、茶飲み話のご馳走として分かち合い、夕暮れの家路につく百姓たちの背中に、上野(こうずけ)の豊かな風土と人情の深さを描き出しています。
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