タイトル
『茜空(あかねぞら)の乳房(ちぶさ)』 ふるさと桐生のむかし話「乳仏観音 相生町一丁目]より
作品紹介
日照りで母乳が出ず、もらい乳も叶わず絶望する母・お妙。赤子の命を諦めかけた夕暮れ、胸に乳房を抱く観音様が現れる。その夜、奇跡的に溢れ出た母乳が我が子を救い、やがてその慈悲は乳仏観音の信仰へと繋がっていく。
作者からの言葉
本作は、清水義男氏の『ふるさと桐生のむかし話』に収められた「乳仏観音 相生町五丁目」をもとに、短編小説として書き下ろしたものです。
干害という逃れられない天災と貧困のなかで、愛する我が子の命を繋ごうと奔走した母・お妙の切実な祈りと、名もなき庶民の苦しみにそっと寄り添う観音様の慈悲を描きました。石仏が手に持つ「未敷蓮華(蓮のつぼみ)」が、生きるために何よりも乳を求めていた母親たちの目に「あたたかな乳房」として映ったという伝承の美しさを、市井に生きる人々の息づかいとともに感じていただければ幸いです。
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