作品紹介
渡良瀬川のほとりで暮らす母おいとと息子矢助。毎晩ドジョウを獲る母を怪しみ尾行した矢助は、母が大鰻に変身してドジョウを吐き出す姿を目撃。正体を見られた母は川へ消え、息子は二度と戻らぬ母を待ち続けた。
作者からの言葉
広沢の渡良瀬川沿いにある「馬頭ケ渕」は、かつて馬頭観音が佇む薄気味の悪い深渕として恐れられた場所です。この民話は、単なる「異類婚姻譚・変身譚」の恐ろしさだけではなく、貧しい暮らしの中で最愛の息子のためにドジョウを獲り続けた母親の悲しいまでの情愛と、「見てはならない秘密」を知ってしまった若者の後悔と喪失感を描いています。
かつて川の脅威や自然の深淵に畏怖を抱きながら暮らしていた先人たちの息遣いと、親子の情愛の切なさを、地域の伝承として心に留めていただければ幸いです。
コメント(0件)