タイトル
商社ウーマン・竿は畳まないジャンル
書籍/小説・文学公開日
2026年05月03日更新日
2026年05月06日作品紹介
大学三年生のとき、白石陽子は親友・美咲に人数合わせで誘われた街コンで健一と出会う。自分から強く望んだ恋ではなかった。押され、流され、気づけば恋人になっていた。健一の情熱は心地よかったが、それは陽子が安全圏にいる間だけだった。健一が広告代理店を一年で辞め、起業を目指し始めた頃には、陽子の気持ちはすでに離れていた。夢を追う男を支える覚悟はなく、失敗の兆しが見えた瞬間、将来が怖くなり「現実を考えて」と言って別れを切り出す。それが自分の保身だと分かっていても、引き返さなかった。
健一は転落していく。借金を抱え、追い詰められ、巨大なヒラマサを釣れば人生が変わると信じ、危険と知りながら鹿島南堤防の柵を越える。救助された夜、鹿嶋警察署に現れた陽子は、身元引受人として十万円を差し出し、「これで終わりにしよう」と告げる。助けたつもりはなかった。関係を清算しただけだった。
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