タイトル
「大衆時代」における知識人の役割ジャンル
書籍/人文科学公開日
2017年10月01日更新日
2017年10月01日作品紹介
「責任ある」存在の責任放棄が、最近非常に目立つ。作家、政治家、学者、教師…これが「大衆時代」の真相である。この時代には誰も知識人をまともに信じない。知識人に属するはずの者が信じるに足る行動や意見を公表しないからである。誰も彼もが自分のことだけに関心を持ち、無責任でいい加減でどうでも良いうわごとを述べ立てる世の中になってしまっているのだ。
これが当り障りのない「どうでも良いこと」で終わっているだけならばそれまでだ。だが我々は歴史の事実を通じて、この無責任さがどれほど恐ろしい結果を招来するかも知っている。第二次世界大戦におけるドイツを始めとする枢軸国のファシズム(ナチズム)体制や太平洋戦争時の日本軍国主義の暴走は、それを食い止めることの出来た唯一の人々、つまり知識人たちの「責任放棄」がその主原因の一端を担っていたことを、我々は決して忘れてはならないのである。
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