タイトル

テレフォン

ジャンル

書籍/小説・文学

著者

椎塚　宏樹

公開日

2025年09月15日

更新日

2025年09月16日

作品紹介

エリコは、アダルトグッズを販売するテレビショッピングの会社に勤めるＯＬ。客からの注文を受ける電話業務に忙しい日々を送っていた。エリコは、自分のデスクに座ると、いつも憂鬱な気分になる。それは、ハラスメントを仕向ける客と相手をしなければならないからだ。ある時、エリコの同僚の話から、エリコが想いを寄せる男性と、そのハラスメントの客とは、同一人物ではないかと思うようになった。そして、電話業務の中で、エリコの葛藤は続く……。

作者からの言葉

メールやＳＮＳの普及で、電話をかける、あるいは受けるといった動作は、ここ数年、いやそれ以上、減ったと思う。しかし、電話というツールはこの先、将来もありつづけるだろう。何故なら、文章よりも直接話した方が、お互いの理解がより深まるからだ。文章は、誤解を招きやすい。会話には、必ず「間」がある。この間の空気を読める人が、実は会話上手なのである。では会った方が良いと言う人がいるかもしれない。その通りである。しかし、電話の利便性は、時間と、距離にある。たとえ遠方にいようが、限られた時間の中で、相手に伝えたいことを効率よく伝えることができる。
電話がなくても生きて行けるが、電話がなくては孤立したまま、いつかは、忘れられる自分になってしまうであろう。せっかくあるツールなら、とことん活かして人生に花を咲かせてはどうか。