謹んで新年のお慶びを申し上げます。
さっそくですが、ブレイクダンスで活躍する片足のダンサーたちをご存知でしょうか?
パラリンピックでアスリートたちの運動能力に驚いた方も多いと思いますが、ブレイクダンスの世界にも、片足という特性を活かしながら健常者と同じステージでバトルするダンサーたちがいます。音にぴったりと合ったフットワークやパワームーブを操るTommy Guns、Jean Sokたちのパフォーマンスは、きっと誰もが見とれてしまうことでしょう。中には松葉杖を身体の一部のように使いこなし、独自のスタイルを表現するダンサーもいます。社会のサポートと自身の努力が相まって、障害を持つ方々が驚くようなパフォーマンスを生み出しているのです。
一方で本の世界はどうでしょうか。紙に印刷された情報は、これまで目が見える人だけのものとされてきました。目が見えない人々は本から情報を得ることが難しく、結果として「情報弱者」と見なされることが多かったのです。
16年前のボイジャーの年賀状
これは、2024年末の大掃除のときに偶然見つけた16年前のボイジャーの年賀状です。この頃、iPhoneは登場したばかりで、スマートフォンで読書している人は稀でした。「目の見えない人に本を届ける」と書いてあります。
「読書バリアフリー」という言葉はまだありませんでしたけれども、ボイジャーは2000年ごろから独自に読書バリアフリーに取り組んできました。
「紙の本は、目が見えない者にとっては、ツルツルした紙の束でしかない。
デジタルであれば、音声の形にすることもできる。
デジタルこそが、自分たちにとっては、本だ」
目が見えない方たちからこのように背中を押されて、音声合成機能のある読書アプリケーションを開発していました。
それから四半世紀の時が過ぎました。2024年、『ハンチバック』の著者市川沙央さんを始めとする作家の方で構成される協会や出版社や印刷会社などによる協会から、相次いで読書バリアフリーを推進する声明が発表されました。出版に関わるすべての人が読書バリアフリーに取り組む時代が訪れたのです。
読書バリアフリーで期待されているのは、電子書籍の点数が増え、充実していくことです。そうなることで、目が見える人も見えない人も平等に情報にアクセスすることができ、「情報弱者」と呼ばれる人たちが減っていくはずです。
ボイジャーも初心を忘れず、みなさんと一緒に読書バリアフリーに努めて参ります。