作品紹介
幻冬舎初版の帯には、「みにくさは、悪か?」貧しく、罪深き人々の、因業と魂の浄化の物語。ーーとある。
時代小説であるが、テーマは「イジメ」。胸に手を当て、心して読んでいただきたい。
作者からの言葉
執筆にあたり、羽生村へ取材に行きました。そして今回の主人公は実在の人物なので、墓参りもしてきました。そしてその法蔵寺で、残念なことがありました。この巻末にも写真を載せましたが、法蔵寺の門前の脇にある累の案内板に「心優しい娘に成長した累は、旅に病む他国者を助け婿に迎えるが、やがてその醜さゆえにうとまれるようになり……」と記されていたのです。
心優しい娘に成長?ーーどの文献にもそんな記述はありません。
これは明らかな捏造です。住職とお会いして、それは何に記されていたのかをお聞きしたかったのですが、生憎住職はお留守でした。
そのような丹念な取材をなさっていたとは。よく子供向けの昔話ではみんな改心して仲良くなりめでたしめでたしと物語り完結を好みますが、終盤になって鼻じらむ思いです
終盤のどこで鼻じろんだのですか。よろしければどこで興ざめされたのか教えてください。
すみません、違います。昔話のカチカチ山などを子供向けに無理やりハッピーエンドに仕立て上げた絵本にj鼻じらむ思いがしたと言うつもりで書きました。正しくは鼻白むなのですね。ありがとうございます
この作品を読んでいろいろと胸に来るものがありました。人の集団の残酷さ、虐げられた者たち同士のいたわりあい、人の本性は酷くもあり、底の底に情もある。しかし生き延びようとそれぞれが必死なので、綺麗事では済まない傷つけあいもあるということ。そうした人間の姿をありありと昔話から語っているこの小説を読んで、胸にドーンと来ました。比べて、子供向けにきれいに整形された昔話がつまらない人間いついて何も語っていないものに思えたのです。