写真が語る近代アメリカの民衆の装い―Guidebook of Joan Severa: Dressed for the Photographer, Ordinary Americans and Fashion, 1840-1900

写真が語る近代アメリカの民衆の装い―Guidebook of Joan Severa: Dressed for the Photographer, Ordinary Americans and Fashion, 1840-1900

タイトル

写真が語る近代アメリカの民衆の装い―Guidebook of Joan Severa: Dressed for the Photographer, Ordinary Americans and Fashion, 1840-1900

ジャンル

書籍/人文科学

著者

濱田雅子

公開日

2022年04月15日

更新日

2022年04月15日

作品紹介

近代アメリカの民衆の装いを、写真から読み解いた他に類を見ない画期的な本です。一般の読者の皆さんにもわかりやすく、面白く、物語風に書かれ、思わず、民衆の生活文化史の世界にいざなわれます。

私たちのまわりには、バックグラウンドも名前もわからない人々が写った沢山の写真が残されています。実際に過去に着用されていた衣服に馴染みがないときに、無名の被写体が写った写真に示された衣服を解釈しようとすると、彼らが他の種類の歴史的な分析を行うどれほどすぐれた腕前をもっていようと、間違いを犯す可能性があります。

Joan Severa, Dressed for the Photographer: Ordinary Americans and Fashion, 1840-1900, The Kent State University , Press, 1995.

本書は、ミドルクラスや下層階級のアメリカ人たちが、ダゲレオタイプの銀板写真技術が導入された1840年から1900年の60年間に、記念写真や日常生活の写真に、どのような装いでおさめられたのか、かれらのバックグランドや服装のディテールの分析も含めて、マテリアル・カルチャー(物質文化)の視点から書かれた大作です。掲載された写真は何と277枚。服飾の専門家の視点で写真のなかの服装が的確に分析されています。

ヨーロッパやアメリカの上流階級の装いを扱った書物は、沢山、ありますが、アメリカの庶民(民衆)の装いを扱った書物は、J・セヴラ女史の上記の著作以外には、一冊もありません。

この大部な著作は、ジョーン・セヴラ女史が30年と言う歳月をかけて取り組まれた大作です。濱田のこの著作は、読者の皆様がジョーン・セヴラ女史の約600ページの大著をご活用いただくためのいわばガイドブックとしてまとめたものです。ジョーン・セヴラ女史の写真分析に基づいて、筆者の独自の立場から、写真が語る近代アメリカの民衆の装いを分かり易く解説させていただきました。

筆者はアメリカの庶民服を38年間に渡って研究してきました。本書は筆者の新しい研究書の普及版であり、翻案権を遵守して書かれた著作です。

本ガイドブックでは、ダゲレオタイプ、アンブロタイプなど写真技術史についても紹介しています。写真技術の発展に伴い、被写体の範囲が一部の金持ちの中流階級以上の人々から、中流・下層の民衆へと広がり、家庭裁縫に携わっていた人々、学校の教師、リフォーム・ドレスの運動に携わっていた人々、移民、西部入植者、農業労働者、解放奴隷、自由黒人、ネイティヴ・アメリカンなどミドルクラスや下層階級の様々なカテゴリーに属する庶民の写真が掲載されています。

我が国でも、海外でもとてもマイナーな分野の研究書です。セヴラ女史が収集されて、解説された素晴らしい、目を見張るような材料を、本ガイドブックを通じて、服飾研究者や学生や衣装デザイナーの皆様や映画監督の皆様や写真のアーキヴィストの皆様のお手元にお届けできれば幸いです。多くの読者の皆様に愛読されることを願ってやみません。



作者からの言葉

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