タイの女は一度泣く

タイの女は一度泣く

タイトル

タイの女は一度泣く

ジャンル

書籍/その他

著者

北川英雄

公開日

2014年06月26日

更新日

2019年11月19日

作品紹介

これは家族計画国際協力財団の雑誌「世界と人口」に、1985年6月号から12月号まで6回にわたって連載されたものである。同財団が日本の国際協力事業の一環として、タイ国保健省家族保健課と企画し、桜映画社が映画制作を行った1979年10月から1981年にかけての、タイ北部チェンマイ県サンパトン郡トンサトック村でのできごとを中心に書かれている。

作者からの言葉

静かな村を記録することは人の目を平穏ななかに追いやってしまう。一方で現実は牙をむいている。平穏ななかに死という現実を対峙させたかった私たちは子どもの死を撮影しようとした。そして偶然にも私たちはその機会に出あってしまった。カメラは非情に小児病院での幼児の死のすべてを記録した。一人の子どもの死にたちあって、すでに夜があけていた。何ともいえない落胆と疲労感のなかに撤収する私たちは、その時、病院の中庭にある大木に目を留めた。根方に無数にぶら下がった人形が樹木の木肌と反目する原色をはなっていた。このたくさんの人形の一体どれだけが身代わりとなってくれたのだろうか、人の願いの空しさが無言のまま朝日にさらされていた。このシーンは映画には使用されなかった。未消化のまま映画に残されることを良しとしない判断だった。あるいは小さな映画にとってあまりにも大きな現実だったのかもしれない。

コメント(2件)

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  1. tab...

    ここにコメントするのがふさわしいか判らなかったのですが、断たない幼児の死で、千軒が干軒になってしまっているように見えるのですが。

  2. tab...

    断たない幼児の死で、1番目の段落の最後「者だちだけだ」は「者たちだけだ」ではないでしょうか?あと2番目の段落の最初が字下げされていないように思います。
    つっこんでばっかりで済みません。内容はとても良いと思います。日本人として恥ずかしいです。