医師と患者のデジタル出版

今日発売の『医療スタッフのための心温まる接遇マナー』(富野康日己 著)という作品は〝NR エディター〟で制作されました。どうしてこのような作品がボイジャーからデジタル出版されているのでしょう? 背景にある話をみなさまへお伝えします。

 

 

 

 

〝優等生〟にあなたもなれる

 

ボイジャー取締役 萩野正昭

 

 富野康日己先生の〝本〟がこのようにボイジャーから出版されているのは、私、萩野正昭と先生との関係によります。主治医として富野先生は私の慢性腎臓疾患を20年に渡って診療して下さってきました。

 はじめて先生とお会いしたのは、一人の普通の患者として順天堂の腎臓内科を訪れ診察を受けた時でした。偶然の出会いによるものです。私の疾患が慢性的なものであることから、その後、定期的な診察で先生にお会いすることになりました。

 

 ある日、私は先生に「見たよ!」と言われました。先生はある新聞に掲載された出版についての討論会の記事について私に伝えたのです。新聞社が主催するこの催しは大阪の中之島公会堂という場所で行われたもので、当時は大学で教えていた作家の林望さんが司会となり、これからの出版について、新進の女性作家、女性ベストセラー作家、映画監督というパネラーに混じって私もいました。大きな記事であり私の写真もバッチリ載っていました。どうしてもデジタル出版に触れざるをえなかった当時の事情から、私にはまだ何一つ確固とした基盤も継続的な売上もなかったのに、出版は必ずデジタルにシフトすると言ってのけたのです。

 

 これを先生は見たのです。そしてその後の経過が、今日発売になった『医療スタッフのための心温まる接遇マナー』へとつながっていきました。

 デジタル出版は必要な情報を必要とする人へ届ける最良の手段です。地球のどこに居ようとインターネットを通じて瞬時に入手できます。制作のための経費は非常に軽微です。多少やり方を学ぶ点はありますが、平易なものです。何よりも散々苦難を経験したボイジャーがやろうとするあなたへ支援の手を差し伸べています。

 必要だという考えがあるならば、誰もが即、世界へ向けて発信することができるのです。たとえ僅かしか売れなかったとして。あなたの訴える〝必要〟は、今、直ちに伝わるものではないかもしれません。でも、あなたの思う〝必要〟は、いつか、どこかで深く人の心と通じ合うことがあるかもしれません。いや、きっとあるはずです。

 

富野康日己先生。

世界で広く活躍する腎臓病に取り組む医師。

 

 慢性腎臓病は、通常、徐々に徐々に数値の悪化をたどり、ある時急激に下落し人工透析へ至ると言われます。こうならないために幾つもの生活指導がなされます。私は富野先生の診察・診療を受けて数値の悪化を低いながら水平近くに保ってきました。長い間のその推移を眺めて、先生は私に「君は私の優等生だよ」と呼びかけてくれました。

 まだ誰も見向きもしなかったデジタル出版を決然とトライし、長い間、何作もの著作を出版し、今日、このコロナ禍の下にまた新たなデジタル新作を世に問う富野康日己先生へ、私は僭越を承知の上で「先生は私の優等生です」と伝えたい気持ちでいっぱいです。

 

2022.2.9