ビートルズがやって来た日


52年前の今日、1966年6月29日未明にザ・ビートルズが日本で公演を行うため、羽田空港に到着しました。JALが用意したハッピを着てタラップを降りるジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人の姿を思い浮かべる方も多いでしょう。

 

当時の日本の混乱ぶりは相当なもので、会場となった日本武道館の前では右翼団体が連日抗議のデモを行い、警視庁は約8000人を動員した大規模な警備体制を敷き、武道館でロック・コンサートを初めて行うことについてもメディアで公然と批判が行われていました。

 

そんな中で3日間に行われた5公演は前座を含めて1時間、ビートルズの演奏時間は30分という短いものでしたが、大きな事故もなく終了し、ビートルズ一行は次の目的地であるフィリピンへと出国しました。

 

[昭和41年6月]
中日ニュース 650 1「ビートルズ無事〝着陸〟」
株式会社 中日映画社

 

この来日公演を境にして日本の音楽シーンは大きく変わっていきました。半世紀が過ぎた今、武道館ではロックに限らず様々なジャンルのアーティストのコンサートがひっきりなしに行われ、中学生がエレキギターを弾くだけで不良扱いされるようなこともほぼなくなったと言っていいでしょう。

 

ビートルズの公式コンサートは同年8月のサンフランシスコ公演が最後となりました。来日を果たせず、歴史が大きく変わっていた可能性も十分にあったのです。来日公演が実現した背景には、国内外さまざまなビジネスマンたちの奮闘がありました。そんな彼らのドラマを丹念に描いたのが、先日電子版が発売された『ウェルカム!ビートルズ』。著者は甲斐バンド、THE BOOMなどを手がけた音楽プロデューサーの佐藤剛です。

 

電子版:1,080円(税込)

立ち読み

特設ページへ

 

本書の主人公的存在であるのが、当時ビートルズの日本でのレコード販売を行っていた東芝レコードの専務・石坂範一郎。東芝の社長で“財界総理”と呼ばれた石坂泰三の命を受け、東芝レコードに創設から携わった人物です。

 

坂本九の「上を向いて歩こう」を海外にプロモーションして世界的なヒットに繋げるなど、日本の音楽史における彼の功績は数多くありますが、ビートルズの来日公演もそのうちの一つだったのです。

 

一方で彼は親会社である東芝から送り込まれた社長たちが引き起こしてしまった経営危機をも乗り越え、やがて日本有数のレコード会社へと育て上げていくのです。ここには現在東芝が迎えている危機とリンクする箇所もあり、ビジネス書としてもお薦めできる一冊です。