誰でも突然モシュになる


『モシュリーマン……』。モシュって? 喪主ですよ! だからモシュリーマンと著者は言うのです。平凡なサラリーマンが、ある日突然、父の訃報に接して、葬儀の知識もないままに喪主となる戸惑いと緊張の記録です。旅行先で突然電話を受けて、四十九日を終えるまでの数々の出来事と対応を、リアルに描いています。

 

 ネットのある現代、葬儀の方法は検索をかければ出てきます。しかし、突然家族の訃報に接した時の衝撃。様々な決め事や手続きに対応していく時の気疲れ。段取りのミスに気付いた時のヒヤリとした感覚。そうしたリアルさは、いくら検索しても出てはきません。厄介でもあり、できれば避けて通りたい困難。それでも、一度も葬式をせずに済む家はないはずです。

 

『モシュリーマン』は葬儀のプロによって書かれた手引き書ではありません。これは私たち一人ひとりと同じ、葬儀のことなど何も知らない、日々の暮らしで精一杯のサラリーマンが、突然困難な状況に放り込まれ、その中で懸命に目の前の問題に立ち向かっていくドキュメンタリーです。主人公の姿は私たち自身の姿でもあります。彼の感じる焦り、苦悩、苛立ちは、私たち自身が感じるであろう感情なのです。他人事だと思わないでください。私たちも遠くない未来にある日突然、「モシュリーマン」になっているかも知れないのです。そんな時、この本のことを思い出していただきたいと思います。きっと、不安に寄り添ってくれることでしょう。

 

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