2017年、コーヒーの話題で一番印象的だったものがある。群馬県桐生市に住む発達障害の15歳の少年が、自宅でコーヒーの焙煎ビジネスを始めたというものだ。彼はアスペルガー症候群だった。学校生活は苦労だらけだったらしいが、彼には家族が驚くほどの鋭い味覚と嗅覚があった。それがコーヒーを吟味する能力としてビジネスにつながったわけだ。
この話題は5月ごろから新聞に出始めた。秋ごろはテレビでも紹介され、年末にはKADOKAWA発行の本となった。秋以降はKADOKAWAが仕掛けたのだろうか。それとも最初からか。ともあれ、アマゾンのレビュー☆5つ、売れ筋で1700位、社会福祉ジャンルでは第3位と評判はいいようだ。
『15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることから ぼくにしかできないことへ 』
著者:岩野 響
発行:KADOKAWA
http://amzn.asia/g4C1QHy
一般の人にとっては、コーヒーは飲むものだ。彼にとってはビジネスであり、焙煎の加減でいかようにも変化する魅惑の素材だ。そして障害を乗り越えて生きる希望だ。
2018年1月17日、小説家 片岡義男さんの最新刊『珈琲が呼ぶ』が発行される。こちらの本は飲むコーヒーの44編のエッセイ集だ。発行元の光文社によると企画から2年がかりだったらしい。
片岡さんの味覚と嗅覚も、これもまた人並みはずれている。とくにコーヒーには。片岡さんが文章で織りなすコーヒーの物語に身を任せてみよう。
https://kataokayoshio.com/novel/04003
また、片岡義男.comでは『珈琲が呼ぶ』の担当編集者・篠原恒木さんによる記事が公開中だ。「今、日本で一番片岡さんと会っている編集者」との噂もある篠原さん。片岡さんのやり取りは茶目っ気があって、クスッとくる。
特集|わたしの片岡義男
サラリーマンの誰もが抱く夢