ぼくらの時代の本とは何だろう?

ぼくらの時代の本とは形のある本だ。しっかりとした紙にインクで印刷され、頑丈な製本にはしおりが挟み込まれていて、タイポグラフィにも神経が行き届いている。数々の荒波を乗り越えてぼくらの本棚に陣取り、認識され、手に取られ、注目されるのを待っている。

 

ぼくらの時代の本とは形のない本だ。デジタル上に漂い、ぼくらのiPhoneやiPad、Kindleやその他リーダーの中に存在している。それらは画面の大小や、解像度の高低に関係なく、スクリーンを埋め尽くしている。何の警告もなく消えてしまうものもあれば、コンピュータネットワークの中で繰り返しコピーされるものもある

 

ぼくらの時代の本とはその両方を行き来する本だ。物質からデジタルへ、切り替え可能。ぼくらの時代の本は講談社やランダムハウスから、何百万の読者へと届けられる。ぼくらの時代の本は--あなたやぼくのような--個人から何百万の読者へと届けられる。ぼくらの時代の本はきちんと編集され、磨きがかけられ、仕上がった原稿として出版される。ぼくらの時代の本はほとんど編集されず、断片のまま出版され、読者によって磨きがかけられる。

 

こう書いたのは、『ぼくらの時代の本』のクレイグ・モドだ。冒頭「はじめに」に彼はこのように切り出した。

 

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この本は、この4年間における本のあり方、読書のあり方、出版のあり方の進化を見てきた彼のエッセイを集めた本だ。

 

この本は、ある種の本が死に、別の種類の本が生まれることを告げる本ではない。紙の本は終わり、電子本が否応なく隆盛することを告げる本でもない。この4年間でぼくらが何かを学んだとすればそれは、ぼくらの時代の本とは紙の本と電子本のどちらのことも指し、著者と出版社と読者の関係を進化させるには、そのどちらにも重要な役割があるということだ。

 

ここに書かれたエッセイは観察の記録である。シリコンバレーやニューヨークの出版スタートアップでの経験の記録。自分で出版した経験の記録。そしてぼくが何度も何度も--人生を通じて--取り組み、熱中し、恋に落ちて来た一冊一冊の本への愛情の記録だ。

 

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電子版:972円(税込)

印刷版:2,160(税込)

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Romancer作家のみなさん! どうか、ぼくらの時代の本について、一緒に考えてみてほしい。