なぜミステリマニアは物語の世界に遊ぶのか?

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シャーロキアン(『シャーロック・ホームズ』の熱狂的なファン)と呼ばれる人たちがいます。彼らはシャーロック・ホームズを実在の人物とみなし、物語の世界にひたり、研究を行ったりします。
シャーロキアンは少々特殊な事例かもしれませんが、ミステリマニアには似たような気質があるようです。例えば内田康夫氏が生み出した名探偵・浅見光彦のファンも同様でアサミストと呼ばれます(この文章を書いている私も実はアサミストです)。

 

では、日本における名探偵といえば誰を思い浮かべるでしょうか?
知名度で言えば、明智小五郎と金田一耕助が双璧でしょう。漫画の世界にも目を向けると、奇しくも明智小五郎の著者・江戸川乱歩+コナン・ドイルから命名された江戸川コナン、金田一耕助の孫設定の金田一一の知名度も高いですね。
小説の世界では、次いで浅見光彦、さてその次は?

十津川警部、三毛猫ホームズ、湯川学(ガリレオ)…テレビドラマ勢の知名度は圧倒的に高いですが、あえて私はこの男の名を挙げます。

 

伊集院大介、栗本薫氏が生み出した名探偵です。

 

上に挙げた名探偵たちとの大きな違いとして、歳をとります。例えば浅見光彦は永遠の33歳(「遺譜 浅見光彦最後の事件」では34歳の誕生日を迎えます)。
伊集院大介の事件簿は、中学生時代のものもあれば、学生時代から40代後半までと順調に歳を重ねていきます。「では、この作品は、伊集院大介が何歳くらいの時なのか? この作品とこの作品ではどちらのほうが先なのか?」などもマニアが遊ぶ研究テーマのひとつと言えるでしょう。

 

2016年7月より刊行が続いている「栗本薫電子本シリーズ」で、とうとう栗本薫氏の人気シリーズの伊集院大介が登場します。これまでなぜか(注)伊集院大介シリーズ単行本に収録されなかった短編集です。金田一耕助との共演もしています。
この作品の刊行(8/20)を記念してミステリマニアである私が調子に乗って「伊集院大介登場作品(年代順)」なるページを作ってしまいました。物語の中の記述から、年齢や出来事の前後関係を拾い出し年代順に並べたものです。まだ未完成なこのリスト、ファンの方が集い、意見を交わしていますのでご興味のある方は、ぜひのぞいてみてください。

(小池利明)

 

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(注)本当の理由はわかりませんが、その短編の位置づけの説明なしに唐突に短編集としてまとめるのは難しかったのかもしれません。本書では各短編に短い解説がついています。