人生初のエッセイがいきなり受賞!

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第65回日本エッセイスト・クラブ賞に、『文字を作る仕事』(鳥海修著/晶文社刊)が選ばれました。この賞は1952年創設で、1年間に発行された随想、評論、ノンフィクション、伝記、研究、ドキュメント、旅行記など、エッセイを対象としている賞です。本日6月26日授賞式が行われました。

 

受賞決定時、担当編集者の方がTwitterでつぶやきました。ご覧ください。本のとなりに晶文社のマーク、サイのミニチュアがさりげなく置いてあります。

 

書名である「文字を作る仕事」とは著者の書体設計士としての仕事そのものを指していますが、このエッセイはそのノウハウの解説書ではありません。著者はフォント設計用アプリケーションの利用方法や設計のポイントには一切触れず、ひたすら文字を愛する理由、関わることの尊さを綴っていきます。

 

一口に文字といってもいろいろあります。商品やテレビ番組、映画のタイトルなどのためにデザインされた文字、新聞の一面をかざる力強く太いどっしりとした文字、レストランの店先にかかげられた看板の文字等、どれも文字です。

 

一方、本でいえば本文の文字、スマートフォンやパソコンでいえばシステムフォントの文字というものもあります。著者が手がけているのはこの種の文字です。日本語の書体では一つの書体で約2万個の文字が必要です。手抜きはできません。身近な書体で言えばヒラギノは著者が社長を務める字游工房の設計です。iPhoneのシステムフォントはヒラギノですから、iPhoneユーザーは世界中の情報を著者が設計した文字で見ていることになります。

 

著者はこう書いています。一文字ずつ、データを作っている書体設計士の心意気をぜひ読み取ってください。将来は藤沢周平の小説を表示する書体を作りたいのだとか。

 

“書体は自己主張をしてはいけない。あくまで物語の脇役であり、言葉の僕と心得ている。だからこそ読者は文字を意識することなく物語に没頭できるのだ。”
(『文字を作る仕事』(鳥海修著/晶文社刊) p115より)
 
あとお酒も愛しているようです。