8月17日〜23日まで、中国上海市、上海展覧中心で2016上海ブックフェアが行われました。8月24日〜28日に北京で北京国際ブックフェアが行われますが、こちらは書店が仕入れ目的に足を運ぶプロ向け、上海ブックフェアは著者サイン会もある一般向けのお祭り要素のあるイベントと位置付けられています。
外観の尖塔が目を引きます
●上海の歴史を秘める会場
会場の上海展覧中心は1955年竣工。中ソ友好ビルとして1955年3月に建てられたスターリン様式の建物です。
こちらはメインエントランス。本が積み上がっているオブジェでしょうか
●ブックフェアのキャッチフレーズに心がない?
「我爱読书、我爱生活(我愛読書、我愛生活)」は、上海ブックフェアのキャッチフレーズです。中国語で「読書」は、勉強するという意味。超訳すれば、勉強して、いい生活をしたいよね、です。急速に経済的に伸びてきた国らしいフレーズです。 中国語の漢字はオリジナルの漢字の形の一部分を抜き出して簡略化されています。中国語の「爱」には「愛」にあった「心」がありません。省略しすぎ、という意見もあるそうです。
●『にっぽん虫の眼紀行』の毛丹青先生が新作発表
ボイジャーから電子版『にっぽん虫の眼紀行』を発行している毛丹青先生の新作発表がありました。
毛丹青先生は北京生まれ。現在神戸市に住み、神戸国際大学で教えています。翻訳家でもあり、村上春樹『女のいない男たち』の中国語翻訳を行っています。
毛丹青先生の新作は『未来のことは未来の私にまかせよう 31歳で胃がんになったニュースキャスター』(文藝春秋)の翻訳作品です。この本は、2015年9月に亡くなったNHK「国際報道2015」の黒木奈々キャスターの闘病生活を綴ったものです。
毛丹青先生はご自身が可愛がっていた姪を病気で失われた経験を交えて、大切な人を失う試練のときにこの本がどんな風に心を救ってくれるかを語りました。
毛丹青先生と新作をパチリ
☆クリックすると本が開きます
●VR、中国上陸
毛丹青先生がプロデュースしているもう一つのプロジェクト『在日本』では、VR映像で高野山などを紹介。VRはまだほとんど中国では知られていないのだそうです。ハードウェアを展示、リアル体験を楽しむ姿が見られました。
雑誌『在日本』とダンボール製VR
●盛り上がる教育系出版社
『在日本』を出版している華東工科大学出版では、ディズニーのキャラクターを使った児童向け教材が大ヒットしています。著作権の保護期間延長を強烈に推進するディズニーが唯一、中国で信頼している出版社がこの出版社です。
親御さんが多い印象 にぎわっています
●活版をライブ印刷
出版社ブースでは、書籍を割引で販売。中国でいう文房四宝、筆、墨、硯、紙の骨董品の販売コーナーや判子用の石を売るコーナーもあります。
『弟子規(ていしき)』『千字文(せんじもん)』をその場で刷って売る、というライブ印刷のパフォーマンスをするブースも人気がありました。これらの文章は書の手本や漢字の学習のために作られたものだそうです。
初めての活版はどう目に写ったでしょう
●開催情報
2016年8月17日〜23日
中国上海市、上海展覧中心
http://www.shzlzx.com.cn/