本当にヒロシマを語れるか?


8月6日、8月9日がやってきます。広島・長崎に原爆が投下された忘れられないその日。ボイジャー発行のデジタル出版『ヒロシマ・ナガサキのまえに』もまたみなさまへお伝えする日がきました。

 

原爆投下50年目の1995年、米国スミソニアン博物館において、原爆の歴史を振り返る展覧会が計画されました。原爆投下爆撃機 エノラ・ゲイの特別展示が計画されたのです。この展覧会では原爆が人々に与えた苦しみを考え、原爆投下の意味を見直すという意図も含まれていたため、全米退役軍人会などを中心とした反対が起こり、展覧会は当初の目論見から大きく後退した形になってしまいます。責任をとって館長のマーティン・ハーウィットは辞任しました。

 

この動きに激しく反応したボイジャーの有志は企画を具体化して、ここに『ヒロシマ・ナガサキのまえに』というCD-ROM作品が生まれました。日本語版も制作されて、今はネットを介したデジタル出版へと継承されています。

 

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米PBSで放送された『The Day After Trinity』というドキュメンタリー映画を基軸に、投下に関わった委員会議事録、映像に収録しきれなかった関係者のインタビュー全文、秘蔵写真、オッペンハイマーのFBI資料などが詰まった、さながら机上の「原爆投下資料館」の態を成しています。翻訳にあたっては、青空文庫の推進役、故・富田倫生さんが担当しています。富田さんは広島出身だったのです。

 

今年5月27日、オバマ米大統領は被爆地・広島を訪問しました。今でも記憶に残っていることでしょう。「核なき世界」の実現に向け「1945年8月6日の朝の記憶を薄れさせてはいけない」と訴えました。多くの日本人は、この訪問とスピーチを歓迎しました。しかし、日本の首相は、原爆投下の結果については目を向けても、投下にいたった原因と経緯について語ることはなく、何の罪もないたくさんの市井の人々が、そして子供たちが、無残にも犠牲となったことを口にしただけでした。原爆の投下は、明らかに日本の仕掛けた戦争の結末でした。核は天災のごとく私たちの身の上に降りおちたわけではないのです。

 

あなたは、本当に広島を、長崎を語れますか?

作家・片岡義男が『広島の真珠』というエッセイを2004年に書いています。そこで彼はエフェクトとコーズといって、及ぼされた効果とその原因について述べています。広島と真珠……すなわちヒロシマとパールハーバーについて触れています。本当に何かを語るには、私たちは結果の姿とそれをもたらした原因について言及しなければなりません。

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常に何かと私たちは戦っています。戦争はもっともわかりやすいその究極でしょう。いうならば究極へ至るさまざまな小さな因子は私たちの日常にころがっているはずです。私たちは戦争を語ることのできる位置に常に立っているのです。