「世論」の正しい読み方は?

7月10日、いよいよ行われる参議院選挙。選挙が近づくと、「世論調査」という言葉を見聞きするようになります。「世論」の正しい読み方は、セロンでしょうか、あるいはヨロンでしょうか。

 

「世」にはセとヨ、二つの読み方があります。もともとは「世」をセ、「輿」をヨと読み分けていました。ところが60年ほど前に決まった当用漢字表に「輿」が入らなかったのです。代用として「世」を使っているうちに、「世論」と「輿論」の意味も混じっていってしまいました。意味や読み方で私たちが悩んでしまうのは、実はこの当用漢字表が決まったからだったのです。

 

ウィキペディアの「輿論」の項目にはこのように書かれています。

 

“佐藤卓己によれば、日本で、「輿論」と「世論」は大正期までかなり明確に区別されて使用されており、「輿論」はヨロンと読み、意味はパブリックオピニオン、理性的な討議による合意、事実をめぐる公的関心のことで、「世論」はセロン、セイロンと読み、ポピュラーセンチメンツ、情緒的な共感、美醜をめぐる私的な心情を意味したという。取材をした記者は、それぞれ「世論」を言論になる前の空気、「輿論」の世論化はファシズムに繋がる可能性を含むので注意しなければならないだろう、と考察している。”

 

理性と討議で作られる合意が「輿論」、共感や私的心情によるのが「世論」だと、大正時代の人たちは区別できていたのです。私たちの意見を代表している世論調査はどちらなのでしょうか。