足元にある未来を見据えて

Romancerでなんと200作品近くも電子本を公開しているポシブル堂書店。今回、店長の田邉浩昭さんにお話を伺いました。

 

電子書籍という言葉に馴染みのない時代から、書店を運営している田邉さん。電子出版との出会い、そして魅力についてお話いただきました。

 

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まず、ポシブル堂書店のご紹介

 ポシブル堂書店は、電子書籍が一般的とは言えない99年に誕生しました。今とは違い、「電子本? 何ですか?」と真顔で質問された時代。「売る前に読んでもらうことが大切」という訳で始めました。投稿作品やサイト上の作品を電子書籍化して自由に読んでもらい、著者・読者の双方に電子書籍をアピールする目的です。

 

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◎ポシブル堂書店 トップページより

http://pbc.on.coocan.jp/necom/

 

●電子出版との出会い

 出会いは、90年代。ボイジャーのエキスパンドブックを使った電子書籍が秋葉原のショップで販売されたというニュースを見て衝撃を受けました。あてもなく作品を書いていた私にとって、電子出版という方法で自作を簡単に売ることができる。それが物凄く新しい世界に見えたのです。

 

●電子出版の魅力は「お手軽・便利・作って楽しい」

 分かりやすい魅力は、「お手軽で簡単」。特に個人出版では費用面や在庫面など、書籍の不都合が全てメリットになります。販売・流通に関しては言うまでもありません。

 インターネットを使って簡単に配信できますし、特定のパソコンやソフトウェア(またはアプリ)が無ければ読めないという状況も解消されています。

 制作環境もフリーのものを使って簡単に試して見られるのも魅力ですね。

 ブログやSNSなどにある作品を電子書籍にまとめてみると色々と発見があったり使い易くなると思います。更新や修正も簡単にできるので常に最新の状態を保っておくことも可能です。古いウェブサイトを持っている方も電子書籍化で新たに命を吹き込んでみませんか。作る、読むという楽しさを体験して見て下さい。

 楽しいと言えば、私の甥が電子書籍ツールで小説を書き始めたのにびっくりしています。

 

●最後に

 書店には「猫の本屋さん」という販売専門サイトも併設しています。ボイジャーのBinB Storeで販売されている個人出版(猫乃電子出版レーベル)の作品です。CD-ROM作品などもあります。

 

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◎当時、イベントで販売していたCD-ROM作品

 

 ポシブル堂書店では、電子書籍化のお手伝い、古い電子書籍のBinB化、既刊電子書籍のリンクなども募集しています。お気軽にお声を掛けてください。

 年3回発行の電子雑誌『ポっとタイムス』も宜しくお願いします。

 

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田邉さん、ありがとうございました!

紙に根を這わすレガシー出版ではとても出せない作品を電子出版でつくり、公開する。出版はデジタルの力を借りて個人のものになった、というのに気付かされました。

 

田邉さんに関するこんな一節があります。

当時、誰も見向きもしなかった電子出版の道に田邉さんがどうして飛び込もうとしたのか。Romancerの短いエッセイ「ふんばれ、デジタル!」をどうぞご覧ください。

 

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◎萩野正昭のふんばれ、デジタル!