若いという字は、苦しい字に似ている……そんな歌が遠い昔にありました。随分と時間が経って、その時の若者も年齢を重ね、いい身の程となりにけるかもしれません。かくいう自分もその類の一人でした。振り返れば間違いない事実がここには残りました。若かろうと干からびようと、苦しい字はいつも身から離れることはなく、いつまでも一緒に歩いてくるのです。
♬ 悲しみは駆け足でやってくる
そんな折、ある問い合わせメールが届きました。読んでいくと、なんと「今やオーバーナインティ・終活の年代……」というではありませんか! 旅の記録『フォト紀行』(20冊余)を長年自家オンデマンド出版してきたとあります。文面にはさらにこのようなことが綴られていました。
「この度、pdf版データをepub変換できると知り、先月から利用させて頂いております。変換したepubデータはKindle本棚にアップロードでき、スムーズに電子書籍出版することができ喜んでおります。“電子書籍は高齢者向き!”が実感されました。」
作者は、海部要三さん。往年、理工系の大学教授を勤められ、90の年齢を越えてここにいたりデジタルと向き合っているという……昔のメロディーにのって若かりし足音が聞こえてくるような気がします。
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デジタル出版がこういう世代に貢献できる事実を生んだのです。一方で飯田一史著『ウェブ小説の衝撃』では、デジタルと若い世代の台頭が力強く語られています。今の若い世代、かつての若い世代、この二つがデジタルというフィールドで暴れまくる世界……これは若いという字は苦しい字に似ていると言ってホゾを噛んだあの日々と今がどこかで繋がっている証とはならないか? もう、誰も「元年」とは言わないでしょう。でも、駆け足でやってくる何かが聞こえてきます。
飯田一史 著 『ウェブ小説の衝撃』