プロは「校正」で本を磨く

『舟を編む』(三浦しをん著、光文社刊)という小説をご存じでしょうか。新たな辞書の出版を通して一人の青年が成長する姿が描かれているベストセラー作品です。松田龍平さん、宮﨑あおいさんが出演した映画の原作として知っている方も多いことでしょう。

 

辞書は特殊な出版物です。企画から発売まで10年以上かかり、またその制作工程も「用例採集」「語釈執筆」など、ふだんの出版にはないものが含まれています。映画の公式サイトで辞書の制作工程が紹介されていますので参考になると思います。

 

一般の本と共通の工程もあります。それは「レイアウト」と「校正」です。校正は日常生活の中には出てきませんが、出版のためにはどの本にも存在する工程です。

なぜなら校正は、本が出版される前に文字の間違いを直す重要な工程だからです。何万という文字の中のたった一つか二つの間違いを見つけるために、一文字ずつ読んで、確かめていきます。その結果、本の信頼性が磨き上げられ、完成した本を読むとき、人は何者にも邪魔されずに没入して読めるようになるのです。

 

校正はそれほど大切な工程ですが、ほとんどの場合、表に出ることがありません。出版において文字の間違いがない(あるいはとても少ない)のは実はプロの校正者が、目をこらして校正を行っているからなのです。

 

電子出版では出版までの期間の短さや手軽さを強調されがちです。しかし校正の時間をきちんと取ることはとても大切なことなのです。

 

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●「大渡海」作業工程(外部リンク

映画『舟を編む』公式サイト