池澤夏樹『メランコリア』

池澤夏樹『メランコリア』発売!–––––詩と、イラストによるヴィジュアル・ポエトリー。

 ある日アンナがいなくなった

 愛が失われたからではなく

 何かが彼女を迎えにきたから

そこから「アンナ」を追いかけて、終りのないゲームが始まる……。池澤夏樹さんの詩は、ほわっとしたり、ドキッとしたり、不安になったり楽しくなったりと、読むたびに違った色を見せてくれます。阿部真理子さんによるイラストも、ある時は詩に応答しているようで、ある時は詩を挑発しているようでもあり。詩とイラストの間でさまざまに生まれる物語が魅力です。イラストの色校が難航しました。「印刷本の色あせ具合も含めて再現したい」という作家の要望を受けて、微妙な色調整に取り組みました。池澤夏樹といえば作家/エッセイストとしての活動が知られますが、本格的な出版活動は1978年の詩集『塩の道』が出発点す。この時、33歳。その後、小説『スティル・ライフ』『マシアス・ギリの失脚』、エッセイ『母なる自然のおっぱい』など数々の名作を経て1998年に出版されたのが、印刷版『メランコリア』です。詩集『塩の道』から20年、池澤さんが53歳の時の「大人の絵本」とでもいうような作品です。ちなみに印刷版『メランコリア』は、光琳社出版という京都の出版社から出ていました。1927年創業の印刷会社を母体として1960年に設立されるも、1999年5月に自己破産を申請。池澤さんの『メランコリア』が出た半年後です。美しい美術書や写真集で評判があったそうで、97年のヒット作『宙(そら)ノ名前』は倒産後に角川に引きとられて、今も販売されているようです。(Wikipedia、2chより)